エウアンゲリオン

新約聖書研究に加え、新たにショート・メッセージで、よい知らせを届けたいと願っています。

密告

 強く「そのゆえに」という語感を伴いながら、「そこで千人隊長は、「このことをわたしに知らせたとは、だれにも言うな」と命じて、若者を帰した」(使徒23:22)と記されて、この場面が閉じられます。千人隊長は、このことを内密に取り扱いました。外に情報が漏れてはいけないという配慮です。それは、この若者のことを思いやってということよりも、むしろこの密告をもとに今から当局が動き始めるとすれば、その当局側の作戦にも影響を与えます。古来、こうした密告があると、密告者自身を亡き者にする、ということがよくありました。その情報を握る者を生かしておかなければ、秘密が守れるからです。そうした信用性のレベルであったということと、人の命をそのようにしか考えていなかったという事情もあるでしょう。そうした心理があるために、「若者を帰した」という表現にあるのは、解散したり解放したりするような意味合いのこもった語になっているようです。このまま束縛しておくこともできた中で、解放してやった、というわけです。そして千人隊長は動き始めました。「千人隊長は百人隊長二人を呼び、「今夜九時カイサリアへ出発できるように、歩兵二百名、騎兵七十名、補助兵二百名を準備せよ」と言った。また、馬を用意し、パウロを乗せて、総督フェリクスのもとへ無事に護送するように命じ、次のような内容の手紙を書いた」(使徒23:23-25)のでした。